お知らせ

2021-06-30 20:00:00
宮司の月便り(6月)

本日は6月30日、令和3年も早半年が過ぎ、明日から後半の半年が始まります。今日の夕刻、半年分の罪穢を祓う夏越の大祓を行いました。当社でも6月20日に茅の輪を参道の正面に設け、お参りの人にくぐっていただき、心身を清めていただいて来ました。コロナ禍が続く中、ウイルスを払うだけでなく、蔓延している気うつな気分を、爽やかな風が吹き抜けるが如く、祓え清めたいと祈ります。

国家行事としての大祓は、遠く飛鳥時代に始まっています。奈良・平安時代は国家機構が集まる大内裏の正面の朱雀門の前に、夕刻に百官が集合して、神事を司る中臣が大祓詞を宣読して、御祓を行いました。この国家行事としての大祓式は、中世になると行われなくなり、廃絶してしまいます。

民間ではそのような時でも、茅の輪をくぐり、お祓いをする風が続いていて、おそらく神社社頭などで大祓が続いてきたものと思います。一年を二期に分け、6月晦日と12月大晦日に大祓をする風は、神代以来の仕来りと思われます。

 

 

夏越の大祓は、猛暑の中の疫病蔓延防止やお盆の先祖祭前の清め、大晦日の大祓は、正月の神祭りの清め祓えの意味がありました。先祖の生活体験の中から生まれてきた行事です。生活に根差した行事ですので、廃れることがありません。国家行事の大祓はなくなっても、民間に根強く継承されて来た理由がここにあります。必要があったから、行われて来たのです。昨年・今年とコロナ禍にあって、益々そのことを実感します。

宮中では、今日の午後、天皇のお祓である節折(よおり)が行われ、引き続き国民の大祓が行われました。そして全国神社にて大祓が行われ、国中が清められるのです。現行の最大の課題は、コロナ禍の克服です。天神地祇八百万の神々の御神徳により罪穢が清められ、平穏な日常の一刻も早い回復を祈りたいものです。