お知らせ
8月末の古宮神社の例大祭は、天候に恵まれ無事に恙なく御奉仕できた。例年の通りなのだが、子供たちの獅子舞が特に印象に残った。神前に氏子一同平穏を祈り、日ごろの感謝を申しあげた。
石上古き伝への獅子舞を
子らのびのびと踊りて楽し
小鼓を撥も巧みに打ちならし
踊る姿の頼もしきかな
笛の音に耳を澄ませば遠き世の
先祖の姿まぶたに浮かぶ
9月に入り天候が回復するかに見えたが、台風18号の襲来でまた大雨となった。しかし、大きな被害がなかったことが何よりも幸いであった。稲が熟す時季なので心配である。9月は氏子の各廓で廓祭(くるわまつり)が行われる。春は3月、秋は9月の2回行われる。神社の宮本である上廓は9月10日、道下廓は17日に古宮神社で行われた。ほとんど全戸参加して、地区内の役職、課題などを話し合われ決定して、地域の生活が平穏に進むようにしている。その後、和やかな会食が続くこととなる。地区の習わしだが、大変良い仕組みである。昔は米と野菜を持ちより、料理して小宴となったというが、今は仕出し弁当である。地区内のことはもちろんだが、家族のことまで話題になり、賑やかな会合となる。
9月23日は、彼岸の中日であった。田んぼの畔に彼岸花が色鮮やかに咲いている。どの家も仏壇や御霊舎を清め、墓を掃除して、先祖の供養を行う。そして。親戚同士で各家の仏壇や御霊舎をお参りする。盆の最中にも行い、春秋のお彼岸にも行うので、年3回お互いの先祖の御霊にお参りすることになる。当然ながら、御挨拶をし、お茶を飲み、世間話をすることになる。これもまたよき風習である。
お彼岸が終ると、いよいよ稲刈りである。嘗ては10月1日が小学校の開校記念日で、地区の運動会が行われた。運動会が終ると一斉に稲刈りが始まる印象である。朝晩めっきり涼しくなり、裸足でいると寒く感じられる。刈り取ったわらの匂いも鮮明に思い出す。秋の日は、すぐに暮れて暗くなり、なんとなく寂しくもなる。
8月に入り猛暑が続くと思いきや、今年は雨の日が多い。空梅雨の水不足など話題にもならなくなってしまった。しかも気温の低い日が続き、凌ぎやすいけれど、真夏日が恋しくなってくる。自宅の庭は、此の1ヶ月余りの間に雑草が生い茂り大変なことになってしまった。雑草の生命力の旺盛さに改めて感心してしまう。水田の稲もいつの間にか大きく成長して、出穂の時期を迎えている。しかし、こんなに雨が多いと、稲の生育に悪い影響が出るのではないかと心配になる。
13日は先祖が帰ってくる迎え盆である。雑草を抜き、植木の剪定をして、少しでもきれいに整え、盆棚を準備し、庭に真菰の馬(先祖が乗ってくる)を吊るした。昔は七夕に吊るしたのだが、今年は孫が学校で作ってくれたものである。午後4時、お湯に浸かり身を清めて、家族総出で先祖を迎えた。提灯を下げ、オサゴとお水を持って、門先の特定の場所に向かい、拝礼をして提灯に火を灯して、先祖の御霊を盆棚に迎えた。そのあと屋敷内の墓地にお参りして、ここからも提灯に火を灯して帰ってくる。
14日、15日、16日の3日間、朝はあんこのおはぎ、昼はうどん、夜はごはんをお供えするのが、我が家の家例である。此の間、親戚の人たちが、棚参りに見えて、日ごろの無沙汰を詫び、よもやま話に花を咲かせる。16日は朝からお供えしたものを下げずに重ねてお供えして、それらのお供え物を真菰の敷き物に乗せ、茄子の馬を作り、午後3時頃にはお迎えした場所に送り盆をする。毎年の事ではあるが、この盆行事を済ませるとホッとする。
月末の28・29日は古宮神社例祭である。恒例の獅子舞を中心に、子供獅子舞、星の宮保育園園児による浦安舞、朝日舞、氏子崇敬者のカラオケ奉納などが行われ、池上地区の平穏と豊作を祈り、日ごろの御守護に感謝の誠を捧げる。大勢の氏子崇敬者が集い楽しくにぎやかなお祭りになることを期待している。願わくば天候不順が元に戻り、良い天候の中お祭りができることを祈ってやまない。
九州北部では集中豪雨で大きな災害が発生し、多くの人が犠牲となった。心からお見舞い申し上げたい。この時期には毎年、日本のどこかで豪雨による災害が発生する。平穏な日常を祈っていても、自然の猛威の前にはなすすべがない。少しでも災害が小さく抑えられるよう、防災に心掛けなければならないと、思うことしきりである。
関東地方では、先日大きな雷が鳴り、梅雨明けとなった。今年は空梅雨であった。真夏の水不足が心配される。田んぼには、用水から清流が運ばれてくるので、早苗は強い太陽の光を浴びて、力強く株別れし成長している。田植えが終わって、約1ヶ月、この時期は夏祭りの季節だ。京都の八坂神社の祇園祭にならい、各地で八坂祭、天王祭が行われる。言うまでもなく須佐之男命(牛頭天王)を祭り、その強大な力で疫病や災害を未然に防いでいただこうとの祈りが込められている。
梅雨明け十日というように、真夏の晴天が続き、一年で最も暑い季節である。25日が土用の丑の日である。ウナギを食べて精をつけ、酷暑を乗り越えたいものである。氏子崇敬者の皆様の益々の御健勝をお祈りしたい。
6月初旬、梅実が熟してくる。青葉の中に大きな梅実が生って、今年は青梅をもいで梅ジュ-スを作った。御酢と砂糖のみで濃厚な梅ジュ-スができた。冷たい水で割ると、さわやかな味である。6月7日に梅雨入りが宣言されたが、空梅雨であまり雨が降らない日々が続いている。境内の掃き掃除をしていても、土が乾燥している。例年だとカビが心配になるが、今年はあまり湿気を感じない。
田んぼでは、麦が黄色く熟して、麦秋を迎えている。その隣の田んぼでは、代搔きが済み、田植えをするばかりとなっている。熟した麦畑と水田のコントラストは、この時期にしか見られない光景である。もうすぐ一面、早苗が植わった水田風景となって行く。6月中旬に当地方では、ほぼ田植えが済んだようである。
半世紀前私たちの子供の頃は、6月下旬が田植えの時期で、家族総出、近所の家と共同で田植えをした。麦刈り、水田の代掻き、苗取、田植えと人手は、いくらあっても足りなくて、朝から晩まで働き、食事も田んぼの畔で食べていた。田植えが済むと、「さなぶり」といい、共同で作業をした一同が会して楽しい宴会を催した。
6月25日に古宮神社で田んぼ学校を開催した。参加者は子供30人を含む約80名、と國學院大學の学生・留学生合わせて、100名余である。お世話したのは、古宮神社の総代・獅子舞保存会、國學院の学生及び神社本庁職員ボランティア、主催である日本文化興隆財団のスタッフ合わせて約50名である。
大雨の予報であったが、朝方から雨は上がり曇り空の中、古宮神社の杜の中に参加者を迎えて、午前10時から開講式を行い、引き続き豊作祈願祭を行った。早朝相当雨が降ったが、空梅雨だったので、ぬかるみができるほどではなかった。祈願祭後、宮司講話で日本人と米の関わりを話させてもらった。子供たちも真剣に聞き耳を立ててくれるので有難い。
昼食時には、「おむすび」作りも体験、地元産のミニトマトをいただき、ポン菓子も味わっていただいた。午後、いよいよ田植え体験である。近くの圃場に列を作って移動、早乙女、白丁姿の子供を先頭に水田に入り、早苗を3、4本ずつ手植えして行く。その後、参加者全員で田植えを行った。午後3時過ぎに閉校式を行い、10月1日の稲刈りに再会することを約束して、皆さんをお送りした。