お知らせ
五月になると新芽は大きく葉を広げて、眩いばかりの新緑となる。生命力にあふれて初夏を実感する。常緑樹の樫や楠木は、新しい葉が出ると、古い葉を落とす。地面には雑草が一斉に芽をだし、どんどん成長する。放っておくと草だらけになってしまう。これからは雑草との闘いである。
五月五日、神社で疫神祭(やくじんさい)が行われた。農作業が始まる前に地区を清める祭りである。主役は地区の子供たちで、子供たちが獅子頭をかぶり、太鼓をたたきながら、地区内の疫神を祓うのである。昔は、農家の家々を一軒ずつ回って家の中にまで入ってお祓いをしたというが、今は決められた順路で、地区内を一巡する。途中、地区内の菩提寺の梅岩院で休憩し、獅子舞を奉納した。そして他地区との境界には、竹に御札を挟んだ「フセギ」を立てる。疫神が侵入しないように防ぐのである。御供の子供たちも元気に獅子舞行列の後に従って、無事に疫神祭を済ますことができた。この間、小学校の校長先生なども御供に加わっていただき大変ありがたいことでした。
〇
当地方ではこのころ稲の種まきをする家が多い。種おろしである。今は田植え機で田植えをするので、苗間(種をまく水田)に種をまいたパレットを並べることになる。愈々農繁期の到来であるが、専業の農家は少なくなって、高齢にもなり米作りの課題は多い。何とか多くの人に米作りに関心を持ってもらい、大事な農業が持続可能になるよう切に祈りたい。
〇
庭にはツツジが満開になり、続いてサツキが花芽をたくさんのぞかせている。庭木の間には蕗が大きな葉を広げている。早速、蕗を摘み、煮物にしてもらった。ほとんどえぐみもなく、歯ごたえがあり、おいしく頂戴した。毎年、変わらぬ味である。
「春祭」
卒業式・入学式と学校行事が続き、遅れていた桜が四月初旬にようやく満開になった。今年は例年になく寒の戻りが続き、花の咲くのが遅れた。満開の桜は、春爛漫という表現がもっともふさわしい。もう肌寒さも感じられなくなり、一雨ごとに若芽が大きくなり色を変えてゆく。三月下旬に馬酔木の花が満開となり、メジロが群れを成して飛来して、賑やかに花を啄ばんでいた。その花もすでに色あせてきた。四月半、神社の孟宗竹林に筍が頭を出してきた。
四月十五日を中心に当地方では、春の日待祭が行われる。「おひまち」とも言い、昔は各家で、御餅を搗いたり、赤飯をふかしたりしてお祝いしたが、今は稀になってしまっている。神社総代や祭事係、自治会長などが、神社で日待祭を行い、これから始まる農作業が順調に進むことや豊作、氏子の平安を祈る。兼務をしている各神社で、この日待祭が行われるので、手分けして御奉仕することになる。
古宮神社では、四月十八日が春祭で、早朝に氏子総代、祭事係等が集合して祭典を行い豊作・氏子皆様の安泰と国の隆生を祈った。この春祭を境に一年間奉仕してくださった祭事係は交代になる。そこで祭事係の慰労を兼ねて、三十年以上前から、祭典修了後に三峰山へ登拝している。当地には三峯講があり、毎年この時期に代参者が代表して登拝して、御札を受けてきていたが、専業農家が減り三峯講の存続が難しくなっていた。そこで、先代宮司の発案で、神社関係者と三峯講の方々と一緒に毎年登拝することになり、今は恒例行事となって続いている。
朝八時、バスにて秩父路を三峰山へと一路向かった。里では花は散り、萌黄色に染まる山並みの中を進む。前日の春の嵐が東に抜けた後なので、清々しく瑞々しい若芽が様々な色を競い萌えている。二瀬ダムの付近で桜が満開であったが、三峯山上はまだ咲いていない。十一時頃に神社に到着、神気あふれる御本殿で祈願祭を行い、改めて氏子皆様の平安と豊作とをお祈りした。その後、二千米を越える白石山、雲取山の山並みを眺めながら、和やかな直会を行うことができた。毎年の事であるが三峯神社職員の皆様の心尽くしに感謝申し上げたい。午後五時無事に下山して春祭の楽しい一日を締めくくることができた。
「雛祭」
2月下旬、蕗の薹が一斉に出てきました。冬枯れの庭に早咲きの紅白の梅が香るばかりでしたが、春の息吹が一層強くなってきました。毎年、この蕗の薹で隣のおばあちゃんが、蕗味噌を作ってくれました。懐かしい思い出です。今年は、3月初旬庭の掃除をする折に、蕗の薹を摘み、近所におすそ分けするとともに、蕗味噌と蕗の天ぷらを作りみんなで食べることができました。ありがたいことでした。
3月3日は雛祭です。孫のお雛様が飾られました。健やかな成長と内裏雛に象徴される優美で清らかな人として、大きくなってくれることを、願いたいと思います。氏子の皆様の家庭でも同様の事と思います。特に初節句を迎えられたご家庭では喜びも大きく、心からお祝い申し上げます。
私の幼少時代は、4月3日に月遅れで雛祭をしていました。雛祭にはヨモギ餅を搗き、紅白の菱形餅を供えるため、4月を待たければならなかったのです。若かった母が畦道でヨモギ摘みをする姿も遠い昔となってしまいました。
3月は年度末で地区の行事、学校の卒業式、保育園の卒園式と様々な行事が行われます。3月12日に、神社の鎮座する上廓では廓祭が行われ、神前に神恩感謝の祈りを捧げるとともに、地区の役員交代や地区が抱える課題などが報告され、和やかな直会が行われました。今月は氏子の各地区で同じように廓祭が行われます。何かと忙しい時季ではありますが、氏子の皆様の一層のご健康とご発展を、衷心よりお祈りいたします。
「立春を迎えて」
お正月の行事が滞りなく相済み、お飾りが山のように社頭に納められました。大寒の中、冬枯れの境内には水仙の花が咲き、梅も蕾を大きくしています。
二月三日節分を迎え、豆まき行事が行われました。ヒイラギの小枝と豆柄にイワシの頭を焼いたものを挿して玄関に飾り、家庭での豆まきを済ませた後、家族揃って神社の社頭に詣でて「福はうち、福はうち、鬼はそと」と大きな声で豆をまき、除災招福を祈りました。本年、厄年を迎えた方々の厄除け祈願も行い、同時に氏子の皆様の平安を祈りました。
翌日は立春です。陽気が立ち登り、春がめぐり来る気がします。しかし春寒料峭とも言い、春風はまだまだ肌に寒く感じられます。同時に三寒四温ともいい、少しずつ日も伸び確実に暖かくなって行きます。
今月十一日は建国記念の日、初代神武天皇が正月元旦に橿原宮の即位された日です。新暦に換算して、二月十一日とされました。建国の原点も春と共に始まったという伝承です。二千六百七十七前の事と伝えられています。心からお祝い申し上げましょう。